たろう氏のブログ

全てノンフィクションです

【蕎麦屋の姐さんのお話②】

・「ほら、着いたよ!」

・この日はたろう氏の長男の蕎麦屋デビューだ。ファミレスにはよく連れて行くが、この蕎麦屋さんのような個人経営のお店は今日が初めて。我が子もどこか不思議そうな面持ちで辺りを見回していた。

・灰原嫁の仕事の都合上、昼食は2人で外で食べてきてほしいとのことだったので、たろう氏は迷わずこの蕎麦屋に足を運んだ。

・店の扉を開けると、客はまだおらず、あの姐さんが椅子に座って新聞を読みふけていた。何とも蕎麦屋らしいワンシーンである。

・そんなリラックスモードの姐さんだが、ふと、初めて見る小さなお客に気がつくと満面の笑みで近寄り話しかけてくれた。「あら〜!可愛いわね〜!!いらっしゃい!」

・我が子も満面の笑みで姐さんを受け入れた。どうやらたろう氏と同様、一瞬で姐さんの虜になってしまったようである。さすがは姐さん、あなたは老若男女誰からも愛される別嬪さんです。

・「座敷使わせて頂いても宜しいですか?」と言うと、「もちろんどうぞ!」と姐さんは快く案内してくれた。大人数向けに用意されている座敷だが、子連れだと多少の我儘は許されるものだ。

・我が子の好みそうな唐揚げの定食を頼むと、ご飯ができるまでの空いた時間に姐さんはひっきりなしに2人に話しかけてくれた。「この子は保育園に通ってるんですか?」「え!●●保育園!?あたしと同じだ!」「ぼくはおばさんの後輩なんだね!」

・超絶美人なのに、子どもの前ではへりくだって自分のことを「おばさん」と言う当たりとても奥ゆかしい。

・「おばさんなんかじゃなくてとても綺麗なお姉さんですよ」とでも言っておくべきだったのだろうか。いや、たろう氏にそんな勇気はなかった。

・食事の合間にも「お水足りてるかな?」など姐さんは我が子のことをとても気にかけてくれた。姐さんは子どもが大好きな人なのだ。

・さらに食事を食べ終わった後は、我が子の我儘に付き合って電車の本を一緒に読んでくれた。「この電車は何て言うの?そうなんだ!おばさん知らなかったよ!」「うちの子も小さい頃電車が好きだったのよ〜懐かしい。」...姐さん歳いくつなんだ?

・お客さんは他にも何人か来ていたが、まるであなた方とこの子とでは優先順位が違うと言わんばかりに姐さんは我が子にベタ惚れだった。客は近所のお年寄りばかりなので、子どもの客は可愛くて仕方がないらしい。

・「このくらいの歳が1番可愛いのよね〜」「どんな言葉を使っていたか記録残しておくと良いよ〜」「●●保育園のことこれからも色々教えてね!」など姐さんはこれでもかというくらいたろう氏に話しかけてくれた。

・嬉しい!嬉し過ぎてパンクしてまう!憧れの姐さんとこんなにたくさん会話ができるなんて。まさか、我が子がこんな形で幸せを運んできてくれるとは!でかしたぞ坊主!

・たろう氏は姐さんからの問い掛けにタジタジになりながらもとても幸せな時間を過ごした。

・「ご馳走様でした!また(この子を)連れてきますね!」とたろう氏が会計に向かうと、「また来てね!」と言って姐さんはお土産にうまい棒を我が子にプレゼントしてくれた。

・「良かったね!お姉さんにありがとうは?」と我が子に言うと、「あぃがと」と小さな声が聞こえた。

・「あはは」と微笑む姐さんに見送られながら、お腹いっぱいのたろう氏と我が子はしっかり手を繋いで家まで歩いて帰ったのであった。


つづく