たろう氏のブログ

全てノンフィクションです

【③たろう氏の行方(中巻)〜 10.13バズーカ〜】

・結局たろう氏はコニタンへの想いを諦め切れなかった。

・恋仲でなくてもいい。お互いの本音を打ち明けることが出来る先輩後輩の関係になれたなら...。

・コニタンの脈を正確に測るためにたろう氏に残された最後の手段。それが10.13バズーカだった。

・10/13はもともと課の飲み会が予定されていた日であり、灰原嫁にはこの日の帰りが遅くなることの許可をもらっていたため、課の飲み会が延期になったことを秘密にしながら、この1日をいかに有効活用出来るかがたろう氏の最重要課題となっていた。

・これを機にたろう氏はコニタンとのサシ飲みを画策。「陸上競技大会の奇跡」により、コニタンとは既にサシご飯を済ましているので、その次のステップアップとしてのサシ飲みはさほど違和感のないお誘いであると思った。もうリスクを背負ってまでOに協力要請する必要はない。

・なあなあな返事だとしても拒否されれば脈はほぼなしと今度こそ諦めがつく。逆に乗っかってくれれば超ラッキー。1度へこんでいるたろう氏はそのくらいのメンタルで臨むことにした。

・もはやバズーカの目的は「切れかかった首を綺麗に切断してもらうこと」に他ならなかった。今のままでは生きた心地がしない。

・そして、たろう氏は勇気を振り絞って既読スルー後初のLINEをコニタンに届けた。

・業務的な内容で送ったため、薄い内容ながらもコニタンは返事をくれた。次はいよいよ飲みのお誘いだ...。たろう氏はコニタンに向けバズーカ砲の引き金を引いた!

・バズーカ砲はコニタンに直撃した。長考の末今度こそ既読スルーされるのではないかと心配したが、コニタンはまたも返事をくれた。しかも前回よりレスポンスが早い。もしや...!?スマホが鳴った瞬間高まる期待に心臓が止まりそうになった。

・しかし、LINEを開いたときたろう氏の心臓は本当に止まった。

・「すみませんが、社内でトラブルになるといけないので既婚者とのサシ飲みは出来ないです...。」

・...。コニタンの言っている事は間違いなく正論だった。脈の有無以前の段階でたろう氏には妻以外の女性に恋をする資格がなかったのである。

・コニタンの真っ直ぐすぎる正論に諭され、たろう氏は現実に立ち返り唖然とした。自分は、コニタンの様な清廉潔白で徳のある女性に世で言う「風鈴」とも受け取られかねない行為を強要しようとしていたのか。自分の卑しさが恥ずかしくてならない。

・我に帰ったたろう氏はコニタンに心の底からお詫びの気持ちを伝えた。するとコニタンは「私が気にしすぎているだけなので全く気になさらないでください。私の方こそ恥ずかしいです。たろう氏にはいつも気にかけていただき感謝しています」と優しく応えてくれた。

・何て出来た人間なのだろう。コニタンはたろう氏が想像していたよりも遥かに情の深い女性だった。コニタンはたろう氏からのバズーカを振り払い、返す太刀で首を無慈悲に切り落とすのではなく、たろう氏の傷口を労り絆創膏を貼って癒してくれた。

・...ダメだよ。そんなに優しくされたら益々辛くなってしまうじゃないか。。もうこの想いは捨てなければいけないのに。。。10.13バズーカは本来の使命を果たせなかった。失敗である。

・コニタンに優しく振られ、途方に暮れるたろう氏。予定のぽっかり空いた10/13は柄にもなく1人キャバクラに出向き、見ず知らずのチャンネーと共に一夜を過ごし失恋の傷を紛らわせるのであった。


つづく