たろう氏のブログ

全てノンフィクションです

【①コニタン物語(中巻)〜恋の知らせ〜】

・「...。」

・出張の間、コニタンのことは楽しく会話が出来る明るく素直で可愛い後輩としか考えていなかった。

・しかし、出張が終わった今も彼女のことを想ってしまうのは何故だろう。

・彼女のことを想うと幸せな気持ちになるのは何故だろう。

・そうか。これは「恋」だ。

・たろう氏の心の奥底に長年仕舞い込まれていた感情が突如甦った。たろう氏の心はコニタンへの恋の知らせに気がついたのだ。途端にたろう氏の心の声は辺り一面に響き渡った。〜コニタン、好きだよ。大好き。あなたのことが愛しくて胸が張り裂けそうだ。どうしようもないくらい、好き。〜

・会話が苦手なたろう氏をここまで会話で楽しませる会話力。素直な可愛い後輩で仕事の相性もばっちり。さらに、女性として人として尊敬できる思いやりの心と徳のある人柄。そして、誰よりもキュートで魅力的な容姿。その全てが愛おしく狂おしい。こんなにも好きになれる女性が今までいただろうか。

・コニタンとの出張でのひと時を経て、たろう氏は人と会話をする行為自体が好きになっていた。恋をするって素晴らしい。

・長年変わることのなかったたろう氏の価値観さらには人生観さえも変えてしまったコニタンはたろう氏にとってかけがえのない存在であるに違いない。

・この想いをただの一夏の思い出として終わらせてしまっていいのだろうか。大事な人にもっと近寄りたい、この想いを伝えたい。そして、...。イケない感情が次々と芽生えようとしていた。

・眠れない。コニタンへの想いがたろう氏の心を支配しているせいだろうか。コニタンのことが頭から離れない。自分でも信じられないが、本当に一睡も出来ない夜もあった。身も心も蝕まれていく。毎晩好きになっていく。

・このままではいつか本当に身を滅ぼしてしまう。この症状は文字通り「恋の病」だった。

・どうすればこの病を治せるのか。たろう氏は大いに悩んだ。コニタンとの距離を縮めようにも、こともあろうにたろう氏はコニタンの連絡先を知らなかったのだ。

・だが、これはたろう氏の失策ではなく目論見通りだった。出張の間、コニタンとLINE交換する機会はいくらでもあったが、たろう氏は敢えてそれをしなかったのだ。

・既婚者であるたろう氏は結婚して以来、女性の連絡先を自分からは聞かないようにしていた。「好きになってしまうといけないから」そう思って、火を起こすような行動を意識的に避けていたのだった。

・しかし、結果的に火はついてしまった。大炎上である。こうなるくらいなら、あの時LINEの1つくらい聞いておけば良かった。カッコつけたろう氏の大馬鹿ヤロー!!たろう氏は悔恨した。

・とは言え、悔恨していても仕方がない。またの機会を待つことにしよう。10月には課の飲み会が催されることになっている。その飲み会でコニタンに接近することが出来ればLINE交換の機会はきっとあるはずだ。

・たろう氏に望みが出てきた。しかし、LINE交換した後はどの様に距離を詰めていけば良いだろうか。

・相手は8歳年下の女性。さらに既婚者であるたろう氏といきなり2人で会うことは非常に難度が高い。ここは、たろう氏の協力者を作る必要があるという結論に至った。協力者はコニタンとそこそこ仲が良くたろう氏とも同じ係の後輩O(オー)の他に思い当たらなかった。

・しかし、このOという娘、悪い人間ではないのだが、どこか思慮に欠け信頼を置けない部分があった。

・思慮に欠けるエピソードの例として、課長が体調不良で休みになったという旨の課内メッセージが出された際に、そのメッセージに対して「いいね」ボタンを押してしまったことがあった。それも2日続けて。意味がわからない。

・しかし、それでも今はこのOしか味方にできる人間はいない...。たろう氏は病と必死に闘いながら、ダイジョウブ博士に自分の将来を託すかの様な心境で来たるべき時が来るのをただじっと待つのであった。


つづく