たろう氏のブログ

全てノンフィクションです

【②家庭内有事発生(下巻)〜宣戦布告〜】

・喧嘩は日々激しさを増していった。

・DVとまでは言わないが、逆上した灰原嫁はたろう氏に殴りかかろうとしたり、物を投げつけたりしてきた。「いつかこの包丁で貴様を刺し殺す」と宣言されたこともあった。

・それでもこちらからは決して手を出してはならない。たろう氏は必死に堪えていたが、怒り狂ったたろう氏が「実写版祟り神」となり暴れ回る未来も現実味を帯びてきていた。

・そんな中、ある事件が起こった。たろう氏にとってはいつもと変わらない犬も食わないただの夫婦喧嘩が起こったのだが、灰原嫁の心は既に限界を迎えていたのだった。

・翌朝家を出るとき、たろう氏は玄関から何かがなくなっていることに気がついた。

・2人が結婚したときに記念に撮った写真だ。

・たろう氏と灰原嫁にとって最も大切だったはずの写真、それを灰原嫁は捨て去ってしまったのだった。

・この行為が意味することは勘の鈍いたろう氏にもよく分かった。敵国の軍事演習が始まったのである。

・また、灰原嫁との喧嘩は日増しに後味が悪くなっていった。喧嘩をした時はどう行動すべきだったのかを話し合い、お互い謝るところは謝って直すべきところは直していこうといった建設的な方向に話を落ち着かせて、ひとまずその日のうちに喧嘩を終了させることをたろう氏は心掛けていたのだが、翌日になっても灰原嫁はLINEでグチグチと不満をぶつけてくるようになっていった。

・灰原嫁は基本的に在宅勤務なので、仕事中でもお構いなしにLINEでバンバン喧嘩を売ってくる。

・これがたろう氏には1番堪えた。外にいる間くらいは家庭のことを忘れさせてほしい。

・「仕事中にスマホをいじるなどあり得ないし、伝えたいことは面と向かって言ってほしい」たろう氏は灰原嫁にその様に伝えた。10回以上は伝えたと思う。

・それでも灰原嫁は辞めなかった。いつしか、たろう氏をLINEで傷めつけることが灰原嫁のストレス解消の手段になっていた。

・とうとうたろう氏の我慢も限界を迎えた。「喧嘩後の不満LINE送るの辞めないんならLINEブロックすんぞ」とやや脅迫じみた言い方でたろう氏は灰原嫁を威圧した。これだけ言えばさすがに辞めてくれるだろう。そう思った。

・しかし、その翌日LINEブロックされたのはたろう氏の方だった。

・「そんなに嫌ならこっちからブロックします」という灰原嫁からの意味不明な声明を受け、ここまでするかとたろう氏は落胆するのであった。

・度重なる軍事演習の総仕上げとして、夏のある日灰原嫁からの最後の忠告があった。

・「あんたはいつまであたしをここに縛りつけておくつもりなの?あんたは女のことを知らなすぎる。他の女のことを知らない限り、あんたがあたしの気持ちを理解することは出来ない。よそで女を作って別居でも何でもしてみろ。女の実態がよくわかるから。こんな許可出してくれる嫁他にいないよ。」

・夫婦関係が完全に破綻した今、この発言はたろう氏からの宣戦布告を煽ることを意図しているのだと思っていた。この発言のフラグにたろう氏はまだ気がついていなかった。

・その時は「他の女なんて、おれには何の縁もない話なんだが」くらいにしか思わなかった。夜も遅く眠かったので、この話の半分は聞き流していた。

・しかし、灰原嫁のその発言の丁度1週間後、たろう氏は光に導かれるが如くある人物に恋心を抱くことになる。

・そう、コニタンである。

・たろう氏の傷だらけの心は天使の様に優しいコニタンに自ずと惹かれていった。

・コニタンへの恋心の始まりは、まるでそうなる事が体内にプログラムされていたのかとさえ感じてしまう。それ故に期待はかなり大きかった。

・しかし、その恋心は燃え上がった瞬間に行き場を失ってしまった。

 


・コニタンから早々の脈なし判定を喰らったたろう氏は朦朧とし弱り果てていた。

・そんな中またしても灰原嫁との喧嘩が勃発。喧嘩しなければいけないほどの内容ではなかったが、失恋うつによる鬱憤も相俟って、たろう氏の怒りは大爆発。たろう氏は一瞬にして祟り神となった。

・そして、祟り神となったたろう氏は灰原嫁に長年言えなかった一言をついに言い放った。

・「出ていってほしい」

・この宣戦布告により全てが終わる。灰原嫁は喜んで家を出て行き、たろう氏はついに解放される。そう思っていた。

・しかし、灰原嫁の答えは予想と違った。

・「...。一緒にいたい。」

・はっきりとそう言ったわけではないが、灰原嫁の伝えたい要旨はそうだった。

・灰原嫁は続けた。

・「この4年間1度も体で触れ合っていない。愛されているのかずっと不安だった。寂しかった。だから冷たく当たってしまった。その点は反省してる。もう一度やり直したい。」

・つい数日前にした会話なのだが、何故かこの会話の内容は脳味噌にはっきりとは記憶されていない。

・しかし、灰原嫁が伝えたい想いだけはたろう氏の脳裏にくっきりと焼きついている。

・灰原嫁よ、お前ってやつは、、ここまで傷つけられながらもまだおれと一緒にいたいと想ってくれるのか...。

・たろう氏は感情がパンクした。


つづく