たろう氏のブログ

全てノンフィクションです

【あとがきのあとがき】

・たろう氏の33歳には続きがあった。


・10.13バズーカによって終了したと思われたコニタンとの関係だが、実はたろう氏の思い過ごしであり、2人の関係は表面上(社会人の振る舞いとして)は何も変わっていなかったのである。

・遅ればせながら11月中旬に開催された課の飲み会で、たろう氏は以前と同じ様にコニタンと楽しく会話ができた。

・「やっぱりコニタンってかわいくて超いいやつだよな」率直な気持ちとしてそう思った。

・さらにコニタンは見かけによらずかなりの大酒飲みという説まで浮上し、これはまた飲むしかないという結論に至ってしまった。


・これを機にたろう氏は忘年会として職場内でのグループ飲みを画策。参加のハードルを下げた上で改めてコニタンを誘うことにした。

・しかし、また誘いを断られるのは怖い。痛みを最小限に抑えるため、コニタンの招集については女性陣の幹事にお願いすることにした。

・たろう氏を含めた男性陣3人女性陣3人のメンバーが飲み会の参加候補に上がったが、この飲み会はかなり異質なメンバー構成だった。

・男性陣は33歳のたろう氏(全体幹事)と40歳の先輩、さらには46歳の先輩で、女性陣は50歳超のやんちゃなおばちゃん(女性陣幹事)と26歳のコニタンの同期職員、そしてコニタンだ。

・このお誘い、自分がコニタンの立場なら絶対に断るだろう。職場の飲み会とはいえ何が悲しくてわざわざオジサン達3人(決してイケメンではない)の相手をしなければならないのか。メリットは特にない。

・コニタンを飲みに誘うというたろう氏の夢を叶えるのは容易ではない所業に思えた。

・しかし、どうしてもまたコニタンと同じ時間を過ごしたい。たろう氏の心にはコニタンに伝えたい想いが募っていた。

・この気持ちを胸の内に留めておくわけにはいかない。たとえどんな結末になったとしても、コニタンには自分の想いを伝えるべきだと思ったのだ。

・神にすがる想いのたろう氏は、車を飛ばし香取神宮までお参りに行った。コニタンとの今後の関係性向上についてお祈りし、さらには「心願成就」と書かれたお守りまで買って帰った。今やれるだけのことはやった。後は天命を待つだけだ。

・その翌日、お守りは早くも効力を発揮した。「コニタン来れるそうです!」という奇跡的な返事がやんちゃなおばちゃんから来たのである。

・再び訪れた千載一遇の機会。たろう氏は9月の陸上競技大会の時の様に万全の準備を施し、来たるときを待った。

・会の何日か前にコニタンは体調不良で休暇を取る等ドタキャンフラグを立てつつも、当日は予定通り来てくれた。

・そして、飲み会は大いに盛り上がった。異質なメンバーではあったが、メンバーの相性が良ければ飲み会に年齢は関係ないのだと思った。気がつけば1つのお店に4時間以上入り浸っていた。


・飲み会を散会し、いよいよここからが本番である。

・名幹事たろう氏の策略により、飲み会のお店はたろう氏とコニタンが同じ電車で帰れる場所にセッティングされていたのだ。

・駅で他のメンバーと別れ、電車内で久しぶりにコニタンと2人になることが出来た。飲み会の時に出たネタなどで何となしに話を続けていたが、コニタンの最寄駅に着く直前にたろう氏が話を切り出した。

・「駅着いたらちょっとだけ話してもいい?」

・2人は駅のホームに降りると、人のいないベンチに腰を下ろした。なお、ホームのどこにベンチがあるかは事前調査済みであり、電車の乗る車両もたろう氏の計画通りだった。

・また、敢えて駅の改札を出なかったのは、既婚者と一緒にいることを見られトラブルに巻き込まれたくないというコニタンへの配慮である。

・帰りがけにたろう氏とコニタンがこの電車に乗り込むところを他のメンバーも見ている。電車内は人混みだし、改札を出た記録もない。この状況下なら仮に見ていた人がいたとしても、やましい部分は何もなく「飲み会帰りにただ2人で話をしていた」で済む。

・全ての下準備が整ったところで、たろう氏はコニタンとの会話を始めた。


〜コニタンに伝えたいことがあってね。

おれコニタンにすごく感謝してるんだ。

夏に下田出張で一緒になったとき、夜遅くまでたくさんおしゃべりしたじゃない?

あの時すごく嬉しかったんだ。

おれ元々会話は苦手で会話が楽しいって思ったことはなかったんだけど、コニタンにたくさん話聞いてもらえて初めて会話が楽しいと思えるようになった。

会話が楽しくなると人生が大きく変わった。色んな人との繋がりを喜べるようになったし、仕事も前より楽しくなった。

今日の様な楽しい会が開けたのもコニタンのお陰だよ。

本当に感謝してる。

新年会もやるつもりだから絶対来てね!〜


・コニタンは少し照れながらもたろう氏の話に傾聴し、時折返答してくれた。

・そして、特別な時間の終わりを告げる鐘のごとく特急列車が駅を通過し2人の会話を遮断した。

・「...帰ろうか。」そう言って立ち上がる2人。コニタンがその場を立ち去ろうとしたその瞬間だった。「コニタン!」たろう氏はコニタンを呼び止めると耳元でこう囁いた。


・「大好きだよ...。」


・「あはは...。」言葉に詰まったコニタンは、苦笑いとも照れ笑いとも取れる笑みを浮かべてから、振り返ることもなくその場を去っていった。


・たろう氏の33歳最後の日は、妻ではない好きな異性への告白という形で幕を閉じた。

・改めて、33歳がこんな激動の1年になることを誰が予想できただろうか。

・人生面白くなってきた。これからはたろう氏の新時代の始まりだ。


(今度こそ)完